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+++ BGM in my room... +++
the high llamas / retrospective rarities and instrumentals (2003)

 心地良い。この後期ビーチボーイズな、スロウな微熱に浮かされたような感覚。ストーブを入れ始めた部屋の音楽には、申し分ない。気持ち音量も低めだったり。



*      *      *


 「いる?」 「いるよ」。
 知り合いに訪ね訪ね、僕の後ろに彼女は座る。隣が空いていて孤独に映るのを恐れ、僕の隣に座りなおす。久しぶりだね。すっかり君は遊びに染まっているようだ。自分でも言っているようにね。そこからいろんな真理を僕は学ぶ。学ばない奴もいるだろうし、学べない奴もいるだろう。アンテナがある奴もいれば、ない奴もいるし、あったとしても、その感度なんてないに等しかったり、その量ならそもそもアンテナなんてない方が良かった、という代物もある。
 とにかく僕は学ぶ。身近に引き寄せる。うん、なるほど。「なるほど、そうだったんだ」。

 僕らは外に出る。久々の再会を次々に果たし僕も喜ぶ。人に対して、こんな感情を持ちえるんだと、自分でもその感情に感動する。いろんな人に会うのを嫌うのは、何が原因なのだろう。こんな気持ちになれるのに。その物質が僕の中から永久に取り除かれることを祈る、祈る。原因が分からないと取り除けない?それとも機械的に行動することで忘れてしまうのだろうか。恐らく後者であろう。そういう経験は幾度となく、ある。原因を探している時は、その探索の行為に恍惚な気分になっているのだが、ずっと後になって、「なにを探していたんだっけ?」となる。しかし、その時の淡い感情は残っていたりもして、そういうものの扱いは音楽が一番巧かったりもする。

 まあそんな再会の最中にも、僕と目が合う。そして少し近づいてきて、左手の甲で僕のメルトン生地のコートの二の腕辺りの部分を幾度となく擦る。そして「寒い」を連呼する。そう言われて僕はどうすればいい。だってさ、君は僕のコートを頑なに着ようとはしないんだもの。

 自称「複雑な感情の持ち主」は、結構わかりやすい行動を繰り返しつつ、僕と別れる。帰りの車の中、少し寒かったけどまだ明るかったので、窓を開けた。淡い感情が車のハンドルや、バックミラーや、後部座席、シートベルトなどに引っ付いていたので、僕は音楽にウィーザーを選んだ。彼らの一番最初のアルバム。嘘みたいな青と、嘘みたいな佇まいの4人組が映ってるジャケット。このジャケットを見たときに感じる僕の感情は、なんというか、説明しづらい。ちょうど僕が村上春樹の魅力をうまくは説明できないのと同じように。コンピュータと音楽の政略結婚のせいで、将来的にはこういうジャケットに対する感情すらも消滅するのかと思うと悲しくなる。

 まあとにかく、僕の名前はなんとか、っていう曲で幕を開ける。車内の淡い感情たちが踊りだし、それを目にした僕も嬉しくなる。ボリュームを表す数字は今まで見た中で最大の数字だ。窓を開けてる僕は、空に巨大なスピーカーが付いている気だってしてくる。まさに、スカイフォン・スピーカー。車内で踊ってる彼らのダンスが最高に楽しそうで、なんだかこのまま事故にあっても、無傷で終わりそうとか、そんな気がしてくる。
 だってさ、あの時君は僕のコートを頑なに着ようとはしないんだもの。
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by swtgrlstrvllngbd | 2008-11-17 02:04